チベット仏教の秘境・ラルンガルゴンパ ~観光化との相克の中で~

チベット仏教の秘境・ラルンガルゴンパ ~観光化との相克の中で~

成都から15時間バスに揺られて到着した色達・喇荣寺五明佛学院。
日本では「ラルンガル・ゴンパ」という名前の方が一般的かもしれません。
ひとたび町を歩くと、無数の赤い宿坊が広がる驚愕の絶景に身を包まれます。
これまで世界中で様々な絶景を見てきましたが、そのどれにも勝る感動がそこにはありました。
※2017年8月現在、外国人は立入禁止。中国政府による破壊がかなり進んでおり、写真と同じ風景を見ることはできません。
「佛学院」という名前の通り、ここは学校です。
町の中に入るということは、一つのキャンパスに足を踏み入れるのと同じことです。
観光化しつつあると言いながらも、入場料金を取られるわけでもなく、
また、観光客の為の施設もほとんどありません。
観光地として利益を上げようという姿勢もまるで無い町なのです。
それがまたこのラルンガルの魅力でもあるのですが、
この地が旅人に知れ渡るようになったのは比較的最近のこと。
中国政府によって、外国人の旅行が禁止されたり、学校の拡大そのものの阻止されつつ、
今日に至るという、ある意味絶妙な中でなんとか存在している所です。
このように、壮大なキャンパスとして成立しているラルンガルですが、
中国人・日本人を中心とする観光客の訪問が日々増加しています。
町で見かける人々は大半は修行僧ではあるものの、観光客も頻繁に見かけます。
大きな一眼レフを首に下げて派手な登山服を着た観光客は、赤一色のラルンガルの風景の中では違和感ありすぎです。
彼らの大半は中国人で、日本人がちらほら混じっています。(外見では全く見分けがつきません。)
ちなみに欧米人はほとんど見かけることはありませんでした。
この様を見ていると、ラルンガルと言う学校は「観光地」として生き残る道を選んだかのようにも見えます。
観光地として世間にPRすれば、政府に壊滅させられることもなくなるだろうから。
景色に関しては世界のあらゆる絶景に匹敵するか、それ以上のものです。
しかし、ひとたび現地のチベット人と触れ合うとなると、かなりハードルが高くなります。
4、5日間の滞在で見たところ、学生たちの観光客に対する印象はあまり良くないようです。
普通に町を歩いている分には、見て見ぬふりを決め込んでるようですが、
町中でカメラを構えようものなら、顔を隠したり、怒鳴って抗議してくる僧侶もいます。
すれちがい様に舌打ちをしたり、文句をブツブツ言ってきたり・・・
過去の観光客のマナーが相当悪かったのか?
中国人たちもカメラを無遠慮に振り回す人はおらず、
それなりに配慮しているように見えましたが、歓迎されていないのは明らかでした。
いずれにしても、それなりに凹む町ではあります。
それでも、圧倒的な景色、濃厚な文化に触れることのできる数少ない場所であり、
それらに触れるだけでも十分に訪れる価値のある場所であることに違いはありません。
以下にポイントを絞って私の体験したことを紹介します。
問答修行の光景
恐らく毎日午後6時頃から町の中心地の広場と、校舎?の中で問答修行が一斉に開始されます。
すり鉢状になったラルンガルの町に、彼らの雄たけびが響き渡ります。
チベット仏教の中でも重要な修行である問答法。
これだけ大規模で迫力のある修行風景は、チベット本土でもなかなか見ることはできません。
校舎の中にも入ることができますが、彼らは「試験中」。
動きまわるとはっきり言って邪魔ですので、こっそりと覗く程度にしておいた方が良いです。
続きは以下よりお読みください。

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